⚫︎1型糖尿病 血液中にあるブドウ糖が血糖と呼ばれ、血糖値を下げる働きをするホルモンがインスリンと呼ばれます。
インスリンは膵臓から分泌され、食事により血糖値が上昇しても常に血糖値が一定になるように調整されていますが、1型糖尿病では膵臓がインスリンをほとんど、または全く作ることができません。
自己免疫機序により、インスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されたりするためです。糖尿病患者さんのうち、10人に1人もいませんが、若い方の糖尿病では多く見られます。
⚫︎2型糖尿病 食べ過ぎなどで肥満になってくるとインスリンが分泌されてもその効果が鈍くなってしまい、結果として血糖が高い状態が続くようになります(インスリン抵抗性)。
この状態が長期に及ぶと膵臓が疲れてしまい、インスリンの分泌量も低下してしまいます。
糖尿病では、下記のような合併症が大きな問題となります。
⚫︎3大合併症
・神経障害 末梢神経が障害されて、手足の先のしびれなどが起こります。
・網膜症 網膜の細い血管に障害が起こって視力が低下していきます。失明原因の第1位となっています。
・腎障害 糖尿病患者さんの30〜50%に発症するとされており、透析導入の原因の第1位で40%を占めています。
⚫︎動脈硬化性疾患・心筋梗塞
・脳卒中
・動脈閉塞症
血糖値のみならず、合併症の有無にも十分気を配る必要があります。
⚫︎血液・尿検査 脂質異常症や腎機能障害の合併がないかどうかも合わせて調べる必要があります。
⚫︎心電図、胸部レントゲン、心臓超音波検査 心臓疾患の合併がないかどうか調べます。
⚫︎頚動脈超音波検査 頚動脈の狭窄がないかどうか、動脈硬化の進展具合を調べます。
⚫︎血圧脈波検査 血管の硬さや血管の詰まりを調べる検査で、動脈硬化の進展具合がわかります。手足の血圧を測定する簡単な検査で、5〜10分程度で行えます。
⚫︎眼底検査 合併症の一つである網膜症の有無を評価します。眼科への受診をおすすめいたします。
糖尿病になって必ずしもすぐに上記のような合併症をきたすわけではありませんが、普段から健康診断を受けていなかったりすると、いつの間にか重度の糖尿病であったなんてケースもあります。
糖尿病では比較的早期の段階から動脈硬化が進んでいくという報告もありますので、予防はもちろんですが早期発見・早期治療が大切になります。
⚫︎生活習慣の改善 (食生活の見直しや節酒、適度な運動、禁煙)
⚫︎薬物治療 (生活習慣の改善でも効果が不十分な場合)
・飲み薬
・インスリン注射
⚫︎1型糖尿病ではインスリン注射昨今は多種多用な糖尿病治療薬がございますが、ただ血糖値を下げるのみではなく、その先に起き得る心血管疾患も見据えた治療を行う必要があります。当クリニックでは循環器内科医の視点から、患者様個々の病状やライフスタイルに合わせた治療のご提案をさせていただきます。
糖尿病による自覚症状はないことが多く、ついつい甘く見てしまう場合も多いかと思います。
しかしながら、そのまま放置してしまうと上記のような3大合併症や重篤な動脈硬化性疾患を発症する恐れもありますので、自覚症状で気になる方や血糖値が高いと指摘を受けた方は早めの受診をおすすめいたします。