脂質にはいくつか種類がありますが、その中でもLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が多くなりすぎた状態、あるいはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なすぎる状態を『脂質異常症』といいます。
悪玉コレステロールの増加だけでなく、善玉コレステロールの低下も動脈硬化のリスクとなります。
⚫︎生活習慣 偏った食事や運動不足、肥満など脂質異常症の多くは生活習慣が原因で起こります。また喫煙により善玉コレステロールが低下してしまうこともあります。
⚫︎体質的な要因 遺伝子の異常が原因でコレステロールや中性脂肪が異常に増えてしまう体質を原発性脂質異常症といいます。特に家族性高コレステロール血症はその代表的なもので、心臓の血管の動脈硬化が進みやすく、若年者でも狭心症や心筋梗塞を発症しやすくなりますので注意が必要です。
⚫︎他の病気や薬の影響 糖尿病やその他の内分泌疾患のほか、甲状腺機能低下症、胆道系疾患、腎臓病などが脂質異常症と関係することがあります。またステロイドホルモン剤、β遮断薬、経口避妊薬なども関係することがあります。
中性脂肪やコレステロールの数値のみならず、合併症の有無にも十分気を配る必要があります。
⚫︎血液検査 中性脂肪やコレステロールの数値をチェックするのはもちろんですが、糖尿病などの合併がないかどうかも合わせて調べる必要があります。
⚫︎心電図、胸部レントゲン、心臓超音波検査
心臓疾患の合併がないかどうか調べます。
⚫︎頚動脈超音波検査 頚動脈の狭窄がないかどうか、動脈硬化の進展具合を調べます。
⚫︎血圧脈波検査
血管の硬さや血管の詰まりを調べる検査で、動脈硬化の進展具合がわかります。手足の血圧を測定する簡単な検査で、5〜10分程度で行えます。
・生活習慣の改善 (食生活の見直し、節酒、禁煙、適度な運動など)
・薬物治療 (生活習慣の改善でも効果が不十分な場合)
心血管疾患発症のリスクなどにもよりコレステロール値の改善目標が変わってきますので、循環器内科医の視点から患者様個々の病状に合わせた治療のご提案をさせていただきます。