心房細動とは、洞結節からの電気信号が抑制され心房全体が不規則な電気的興奮で細かく痙攣するような状態になる不整脈で、発作的に短時間だけ起きて元に戻る『発作性心房細動』と、ずっと持続している『慢性心房細動』の2つの種類があります。
心房細動自体は直接的に生命に関わる不整脈ではありませんが、それで起き得る以下の合併症が大きな問題となります。
⚫︎心不全
⚫︎血栓塞栓症
心房細動によって心臓のポンプ機能が低下したり、脈が速くなることで心臓に負担がかかって心不全を合併することがあります。
また心房細動が起こると心房内の血液の流れによどみが生じ、血栓と呼ばれる血液の塊ができやすくなります。
この血栓が血流に乗って運ばれて他の血管に詰まると塞栓症を起こします。代表的なものが脳梗塞であり、心房細動によって起こる脳梗塞はしばしば広範囲で重篤なものとなります。時には手足の血管やお腹の血管などに血栓が詰まることもあります。
誘因の除去や原因となり得る心臓疾患などの治療が必要になりますが、心房細動に対する治療は以下に大別されます。
⚫︎レート(心拍数)コントロール 内服薬により心拍数を抑えることで心臓への負担を減らす治療です。
⚫︎リズムコントロール 脈の乱れを元に戻して維持する治療で、以下の治療法があります。
・薬物療法
・電気的除細動(電気ショック)
・カテーテルアブレーション治療
(カテーテルと呼ばれる管を血管から心臓内に通して原因となっている電気回路を遮断する治療)
⚫︎抗凝固療法 抗凝固薬を内服することで血栓の形成を予防します。数種類の抗凝固薬がありますが、患
者さんのライフスタイルや状態によっての使い分け・用量選択が必要になります。