心房粗動とは、心房が1分間に240回以上という通常よりも速いペースで規則的に動いている状態をいいます。
ただし、この全ての電気信号が心室へ伝わるわけではなく、4回に1回であったり3回に1回であったりといった具合で、心房ががいくら過剰に動いていても心室が適切なペースで動いている分には必ずしも重篤な症状は起こりません。
心房粗動は多くの場合、右心房で不適切な電気回路が形成されることによって洞結節が過剰に活動するようになり、規則正しいながらも早いペースで心房が収縮するようになってしまいます。原因としては以下のようなものがあります。
・加齢
・心筋梗塞
・甲状腺機能亢進症
・リウマチ性心疾患
心房粗動では以下のような合併症が問題となります。
⚫︎心不全
⚫︎血栓塞栓症
心房粗動によって心臓のポンプ機能が低下したり、脈が速くなることで心臓に負担がかかって心不全を合併することがあります。
また心房粗動が起こると心房内の血液の流れによどみが生じ、血栓と呼ばれる血液の塊ができやすくなります。この血栓が血流に乗って運ばれて他の血管に詰まると塞栓症を起こします。代表的なものが脳梗塞であり、時には手足の血管やお腹の血管などに血栓が詰まることもあります。
誘因の除去や原因となり得る疾患の治療が必要になりますが、心房粗動に対する治療は以下に大別されます。
⚫︎レート(心拍数)コントロール 内服薬により心拍数を抑えることで心臓への負担を減らす治療です。
⚫︎リズムコントロール 脈の乱れを元に戻して維持する治療で、以下の治療法があります。
・薬物療法
・電気的除細動(電気ショック)
・カテーテルアブレーション治療
(カテーテルと呼ばれる管を血管から心臓内に通して原因となっている電気回路を遮断する治療)
⚫︎抗凝固療法 抗凝固薬を内服することで血栓の形成を予防します。数種類の抗凝固薬がありますが、患
者さんのライフスタイルや状態によっての使い分け・用量選択が必要になります。