心臓の筋肉が薄くなって拡張し、収縮力が低下する心筋症で難病に指定されています。病状はゆっくり進行し、予後は良くありませんが、最近では治療の進歩により5年生存率が以前の5割程度から7〜8割程度にまで向上しています。
⚫︎心臓超音波検査 心臓の筋肉が薄くなって拡張し、心臓の収縮力が低下しているような所見があれば拡張型心筋症が疑われます。
⚫︎胸部レントゲン 心臓の拡大の程度や胸水・肺うっ血の有無など、心不全所見がないか調べます。
⚫︎心電図検査
不整脈の有無や心筋伝導障害を示す所見がないかどうかを調べます。
⚫︎血液検査
心不全の評価に有用なナトリウム利尿ペプチド(BNP)の測定をしたり、心不全による全身への血液循環の悪化に伴い、腎臓や肝臓などの機能低下がないかどうかを調べます。
⚫︎心臓MRI検査
⚫︎心臓カテーテル検査、心筋生検 ⚫︎薬物治療 患者さんの病状に合わせて以下のような薬剤を組み合わせて使用します。
・利尿剤
尿量を増やすことで心臓が拍出する血液量を減らし、心臓の負担を軽減させます。
・ACE阻害剤、ARB(降圧剤)
血圧を下げることで心臓が拍出する際の抵抗を減らし、心臓の負担を軽減させます。
・β遮断薬
心臓の仕事量を減らして負担を軽減させます。
・抗凝固薬
心臓内に血栓(血液の塊)ができるのを防ぎます。
⚫︎不整脈治療 心筋症では心室頻拍などの致死的不整脈を生じることもあり、それらを認めた場合には以下のような治療も検討します。
・ICD(植え込み型除細動器)植え込み
・カテーテルアブレーション治療
(カテーテルと呼ばれる管を血管から心臓内に通して原因となっている電気回路を遮断する治療)
⚫︎心臓再同期療法(CRT) 重症心不全に対する治療で、ペースメーカを使って心臓のポンプ機能の改善をはかる治療です。通常、右心室と左心室は電気信号により同調してタイミング良く動いていますが、心筋の障害によって電気信号の伝導異常を生じると左右の心室の収縮がいびつになり、より心臓の機能が低下することになります。
これを心室同期障害といいますが、ペースメーカにより左右心室への電気信号のタイミングを整えることを再同期といいます。右心室と 左心室の両方に電気刺激をすることから両室ペーシングとも呼ばれています。なお、心室頻拍のような致死的不整脈を起こす危険性がある場合は、除細動機能付きの両室ペースメーカ(CRT-D)を使用します。
⚫︎外科治療
・心臓移植
・人工心臓手術
・バチスタ手術(左室形成手術)